建築物を模したタベルナクル額縁

額縁をその形態で分けると、tabernacle(タベルナクル。ラテン語ではtabernaculum(タベルナクルム))とCassetta(カセッタ。箱型)の二つに大きく分けられと言われています。ただ箱型の中にもタベルナクルの流れをくむと言われるものもあり、明快に分けられるものでもなさそうです。というのも、そもそも額縁の生い立ち自体がその使われる状況で変わっていったからに他なりません。元来15世紀の絵画の延長線で一体として作られていった画枠を起源と言われる額縁が独立した存在となっていった過程で、飾るための要素が濃厚となっていくまでには、祭壇画であったり宗教画と関りが強かった一面と、家系の先祖を敬う肖像画をかけておくために使われていた一面もあったことから、建築物を模した額縁(これがタベルナクル額縁の由来となる)の中に絵画を収めることが多くみられることからも当然の結果と言えるかもしれません。そのうちに描かれる絵画も風景画だったり静物画などが加わっていくいくうちにどのような題材にも合う汎用品ともいえる箱型がその勢いを増していったとみる向きもあります。いずれしにしても収める対象あっての額縁の宿命で絵画と一体となるのが理想であることに変わりはなく、時代時代で好まれる額縁が変化していくのはやむを得ないことであり、またそこが額縁への興味が尽きないところと言ってもいいかもしれません。