木枠に納められた動産としての絵画

エルコラーノの『三脚を飾るクピドたち』というフレスコ画は、焦点の二階から発見されたそうです。この店の商品だったとも考えられます。この商店の店主は美術商だったかもしれませんし、ここはギャラリーだったかもしれません。もしかしたら額装店だったかもという人もいます。当時のフレスコ画が壁面に直接描かれて一部の人しか見ることができないものだったわけではなさそうです。額縁のような木枠に納めて人々の間で売買されていたかもしれないのです。また、一部の人々は、木枠から出してまた壁に埋め込むということはせずに、木枠のまま装飾品としてインテリアにしていたかもしれません。二千年も昔の一枚の絵画が木枠とともに蘇ったことも面白いと思います。当時の絵画が、限られた空間だけでなく木枠とともにいろんな場所で鑑賞されていたと思うと楽しいですね。