フラスコ画のむずかしさ

1300年頃からイタリアで開発され壁画などに用いられてきた絵の具として知られる「フラスコ画」は、色のついた天然石などを粉砕することで顔料として筆を用いて作品づくりが行われました。生乾きの漆喰の上から顔料を塗ることで、壁と顔料が定着するしくみです。漆喰に顔料がコーティングされることで定着するので色彩の美しさが長持ちすると言われています。また、色のついた天然石を壁に敷き詰めていたモザイク画とは異なり、筆を用いることでより繊細な表現が可能となったようです。フラスコ画は壁の他にも天井などの装飾に用いられていたようですが、漆喰が乾燥するまでに描かなくてはならないという制約があることから扱いにくい絵の具であるとも知られています。簡単には塗り直しができないため画家たちの作品づくりの大きな壁ともなっていたようです。「フレスコ」は、辞書などで意味を引いてみますと「新鮮」という意味合いも含まれているようです。漆喰が乾かない新鮮なうちに作業を終えなくてはならない意味合いを表してもいいるようです。バチカンにあるシスティーナ礼拝堂のミケランジェロ作品の壁画は、フラスコ技法を用いた絵画としてたいへん有名であります。